ウェルシュ菌による食中毒の症状!軽くするための対策は?
腸の中の悪玉菌の代表格といえば、ウェルシュ菌です。生命力も繁殖力もとても強く、完全に退治することが困難な食中毒菌です。
腸の中では普段は、食中毒を起こすほど暴れまわることはありませんが、様々な腐敗物質を作り出して、人間の健康を害します。そのため、健康な腸内環境を維持するためには、ウェルシュ菌の事を熟知しておくことが大切です。
そこで今回は、腸の中の邪魔者であるウェルシュ菌の食中毒の症状や生態についてお伝えします!
目次
ウェルシュ菌の食中毒
ウェルシュ菌はとても生命力の強い細菌です。日常、起こる食中毒の多くはウェルシュ菌によるものです。最も身近な食中毒にもかかわらず、知らないことも多いので、まずは、ウェルシュ菌による食中毒の症状と原因について見ていきましょう。
症状
ウェルシュ菌による食中毒の症状は腹痛と下痢です。吐き気を伴うことはほとんどなく、下痢の回数も1回~3回程度で、1日で収まります。普段、お腹が痛くなってトイレに駆け込んで下痢だった場合は大抵ウェルシュ菌による食中毒です。
症状はそんなに重くなく、すぐに収まりますが、日常的によく起こることが特徴です。
原因
ウェルシュ菌による食中毒の原因は、ウェルシュ菌が作るエンテロトキシンという毒素です。
後で説明しますが、ウェルシュ菌は芽胞というものを作って増えていきます。この芽胞を作る時に同時にエンテロトキシンを作り出します。
ウェルシュ菌は肉などのたんぱく質を好むので、常温で放置されていた肉の中ではウェルシュ菌が大繁殖しています。そして、ウェルシュ菌が大繁殖した食品を食べてしまうことで、腸の中でウェルシュ菌が更に増殖する際に芽胞をたくさん作り出し、更に大量のエンテロトキシンが作り出されることで、食中毒症状が出てしまうのです。
まずはウェルシュ菌の食中毒の特徴について見てきましたが、ウェルシュ菌への対策を知るために、今度はウェルシュ菌の生態について見ていきましょう。
ウェルシュ菌の生態
ウェルシュ菌はとても生命力が強く、繁殖力も強い細菌です。ウェルシュ菌の生態の特徴には次のようなものがあります。
- 生息場所が広い!
- 芽胞を作って増える
- 熱に強い!
- 空気の無いところが好き
ウェルシュ菌は触れずに生活することは不可能なほど、いたるところに存在しています。そのため、ウェルシュ菌の活動を抑える方法を知っておくことが重要です。
そのためにもウェルシュ菌の生態の一つ一つを掘り下げて見ていきましょう。
生息場所が広い!
ウェルシュ菌は川や海、土の中などの自然界や動物の腸の中など、あらゆる場所に存在しています。どのような環境でも生きることができ、繁殖の速度もとても速いのが特徴です。
ウェルシュ菌に触れないように生活するのは、不可能と言ってもいいくらい至る所に存在します。
芽胞を作って増える
ウェルシュ菌は普通に細胞分裂して増えるのではなく、芽胞というものを作り、そこから新しい菌が誕生します。動物が卵を産んで増えていくイメージと同じです。この芽胞が作り出される時に同時にエンテロトキシンという食中毒を引き起こす物質が作られます。
ウェルシュ菌は腸の中に常在する場合もありますが、普段は腸の中の善玉菌などとバランスを取り合って大増殖は抑えられているので、食中毒を引き起こすことはほとんどありません。ウェルシュ菌の食中毒は腐った食品を食べてしまった時の一時的な大増殖によるものが多いのです。
熱に強い!
ウェルシュ菌は熱しても死滅しにくい細菌です。ウェルシュ菌の芽胞は100℃に熱しても壊れにくいという特徴があります。そのため、食品を調理する時に熱し方が弱いと芽胞は壊れずに生き残ってしまいます。
中途半端に熱した食品の場合、他の細菌は死滅しているので、だんだん冷めていく過程でウェルシュ菌だけが芽胞から復活して増殖を始めるので、ウェルシュ菌の天国になってしまいます。
空気の無いところが好き
ウェルシュ菌は酸素の無い環境で活発に活動をする細菌です。そのため、食品の中心部の空気に触れない部分で増殖しやすく、動物の腸の中でも酸素のほとんどない大腸に住んでいます。
食品は熱すると酸素が外に出ていってしまうため、中心部は酸素の無いウェルシュ菌が増殖しやすい環境になります。中途半端に熱した食品が危険な理由はここにもあるのです。
では、どうすればウェルシュ菌による食中毒を防ぐことができるのでしょうか?次はウェルシュ菌の食中毒を予防する方法を見てみましょう!
ウェルシュ菌の食中毒の予防方法
ウェルシュ菌の食中毒を予防するためには次のような方法が効果的です。
- 前の日に調理して放置しておかない
- しっかり加熱する
- 保存する場合は速やかに冷蔵保存する
基本的にはウェルシュ菌が増えないようにすることが基本です。それぞれを掘り下げて見ましょう!
前の日に調理して放置しておかない
一度調理した料理は、他の菌が死滅している、料理の中に酸素が無いというウェルシュ菌の増えやすい条件が揃っています。ウェルシュ菌はあらゆる所に存在するので、放置しておくとすぐにウェルシュ菌が混入して、増殖を開始します。
作った料理を一度に食べきらない場合は、すぐに冷蔵庫に入れて保存しましょう。
しっかり加熱する
ウェルシュ菌の芽胞は熱で壊れにくいのですが、十分に加熱すれば完全に死滅させることは可能です!
目安としては、100℃で10分以上、75℃で15分以上加熱すればウェルシュ菌を死滅させることができます。
保存する場合は速やかに冷蔵保存する
ウェルシュ菌は他の細菌がおらず、酸素の無い環境で増えやすいです。その条件を整っているのが、既に説明した通り、一旦加熱した後に冷めた食品です。
そのため、保存する場合はウェルシュ菌が活動を開始する前に、速やかに冷やしてしまうことが大切です。理想は一食分ずつ小分けにして冷え易くしてから冷蔵庫に入れることです。
症状を軽くするための対策
ウェルシュ菌は自然界のあらゆる場所に存在しているため、ウェルシュ菌の食中毒は日常的に起こりやすいものです。
もし、ウェルシュ菌で腐ってしまった食品を食べてしまった場合、症状を軽くするには、やはりヨーグルトが効果的です。ウェルシュ菌の唯一の弱点は、酸性の環境では生きていけないということです。
ヨーグルトには乳酸がたくさん含まれているため、腸内環境を酸性にします。また、ヨーグルトは腸の中の善玉菌を増やす働きもあります。善玉菌のほとんどは乳酸菌なので、腸の中の善玉菌が増えることで、更に腸内環境が酸性になるので、ウェルシュ菌が増えにくい環境にすることができます。
普段からヨーグルトを食べて腸の中をウェルシュ菌の苦手な酸性の環境にしておくことで、症状を軽くすることが可能です!
ヨーグルトの腸内環境の改善効果については、こちらの記事に詳しく書いています!
⇒ ヨーグルトの健康効果!身体に良いのは乳酸菌ではない!?
まとめ
ウェルシュ菌の食中毒は、日常、最も起こりやすいので、普段からの対策が大切です。次のことを日常の習慣にしておくことをおすすめします!
- 料理を常温で放置せず、食べない分は速やかに冷蔵庫で保存する
- 保存しておいた食品を温める時は十分に加熱する
- 毎日ヨーグルトを食べる
どれも当たり前のことばかりですが、甘く見ておろそかにしがちなことでもあるので、毎日しっかり対策をしていきたいですね!
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