オリゴ糖と砂糖とブドウ糖の違い!腸内環境に良いのはどれ?
腸内環境を整えるために良いとされる食べ物には、色んなものがあります。ヨーグルト、野菜や果物などの食物繊維を含む食べ物、様々な発酵食品などがその代表ですね。
また、食べ物以外でもオリゴ糖なども腸内環境を改善するとされています。オリゴ糖が腸の中の善玉菌のエサになって悪玉菌を減らすと言われています。
でも、このオリゴ糖がどんなものか、よく分からない人も多いのではないでしょうか?
オリゴ糖って、普通の砂糖や、よくお菓子に使われているブドウ糖などと何が違うのでしょうか?そして、なぜオリゴ糖だけが腸内環境を改善するのでしょうか?
というわけで、今回はオリゴ糖と砂糖とブドウ糖の違いを見ていきましょう!
目次
それぞれの違い
まずは、それぞれの違いから見ていきましょう。
人間のエネルギー源であり、食べると甘く感じる糖類には、実は多くの種類があります。
オリゴ糖と砂糖とブドウ糖も糖類ですが、実はそれぞれ微妙な違いがあります。
その違いのポイントは次の4つです。
- 分子構造
- カロリー
- 甘さ
- 消化吸収できるかどうか?
同じ糖類と言っても、性質に微妙な違いがあり、それが人間にとっては大きな違いになるのです。
その違いをポイント毎に順番に説明していきます!
分子構造
それぞれは分子構造が違います。
順番に見ていきましょう。
ブドウ糖
実は糖類は全て複数の糖の分子が結び付いてできています。そして、その基本となる糖の分子の一つがブドウ糖なのです。
ブドウ糖は単糖類に分類される糖で、全ての糖類はこの単糖類に属する糖の分子がいくつも結び付いてできています。
砂糖
砂糖はスクロースと呼ばれる糖の分子です。2つの単糖類が結び付いていて、二糖類に分類されます。
自然界ではサトウキビや甜菜のような作物に多く含まれている糖で、調味料や加工食品に広く使われています。
オリゴ糖
オリゴ糖は実はある特定の糖を指した名前ではなく、二糖類以上で比較的少ない数の単糖類が結び付いた糖の総称です。
少糖類などと呼ばれることもあります。
フルーツなどに含まれていますが、その量は少な目で、自然界の中では、少ない糖類です。
カロリー
それぞれの糖はカロリーも違います。
それぞれの100gあたりのカロリーは次のようになります。
- ブドウ糖:335Kcal
- 砂糖(スクロース):271Kcal
- オリゴ糖:ブドウ糖の半分程度(腸内環境によって変化する)
カロリーはブドウ糖がトップです!単糖類は非常に効率が良いエネルギー源なので、糖類の中でもカロリーが高いのです。また、消化吸収の速度も高いため、血糖値の上昇速度も非常に高いのが特徴です。
一方でカロリーが一番低いのは、オリゴ糖です。しかも、このカロリーは糖由来ではなく、短鎖脂肪酸と呼ばれる、糖とは別の物質によるものです。
短鎖脂肪酸は腸や内臓のエネルギー源として消費され、血糖値に与える影響も小さいです。
オリゴ糖のカロリーが糖由来ではない理由は、後で説明しますね!
甘さ
人間が食べた時の甘さの強さにも違いがあります。
甘さの感じ方は砂糖が最も強いです。調味料に広く使われているのは、この甘さの強さが理由なんですね。
そして、ブドウ糖の甘さは砂糖の6割~7割、オリゴ糖は砂糖の半分程度と言われています。
消化吸収できるかどうか?
それぞれの糖の大きな違いは、人間が消化吸収できるかどうかです。
実はこの中でオリゴ糖だけは、人間が消化吸収することができないのです。
砂糖とブドウ糖は、人間にとっての重要なエネルギー源なので、非常に効率的に消化吸収されます。
では、オリゴ糖はなぜ腸内環境を改善できるのでしょうか?
次はオリゴ糖と腸内環境の関係を見ていきましょう。
腸内細菌が糖を食べる
良い腸内環境というのは、悪玉菌が少なく、善玉菌が多い状態です。では、善玉菌を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
実は糖類は善玉菌にとっても、悪玉菌にとってもエサになる物質です。両方とも糖類を食べて増えていきます。
そして、増える過程で、善玉菌はビタミンや短鎖脂肪酸、乳酸などを作り出します。一方の悪玉菌はアンモニアや硫化水素などの腐敗物質などを作り出します。
なんかこれじゃあ悪玉菌も増えてしまってますよね?でも、心配ありません!善玉菌は乳酸を作り出すため、腸の中は酸性になっていきます。
悪玉菌は酸性の環境では増えることができないという性質をもっています。そのため、善玉菌が増えて腸内環境が酸性になると、たとえエサがあっても、そのうち悪玉菌は増えることができなくなってしまうのです。
でも、ここでもう一つの疑問が出てきます。糖類全般が腸内細菌のエサになるんだったら、オリゴ糖だけじゃなく、砂糖もブドウ糖も腸内環境改善に効果がありそうですよね?
いったいなぜオリゴ糖だけが腸内環境を改善すると言われているのでしょうか?その理由が消化吸収できないという特徴にあるのです。
なぜオリゴ糖だけが腸内環境を改善するの?
人間がオリゴ糖を消化吸収できないのは、オリゴ糖を消化する酵素を持っていないからです。
そのため、人間が食べても、そのまま大腸まで届くのです。
オリゴ糖だけが大腸まで届く
私たちにとって重要な腸内細菌の多くは大腸にいます。そのため、腸内環境を改善するためには、大腸にまでエサとなる糖を届ける必要があります。
しかし、砂糖やブドウ糖は非常に消化吸収されやすいため、ほぼ全てが小腸で消化吸収されてしまい、大腸には届かないのです。
ところが、オリゴ糖は人間には消化吸収できないため、大腸にそのまま届き、腸内細菌のエサとなります。そして、こちらの記事にも詳しく書いていますが、オリゴ糖を食べた善玉菌はビタミンや短鎖脂肪酸などの様々な栄養素を作り出します。
⇒ ヨーグルトの栄養の効果!乳酸菌が作り出す物質は超凄い!
人間はオリゴ糖を直接消化吸収できない代わりに、善玉菌が作り出した栄養素を吸収して活用することができるのです。
最初は腸内環境が悪くなったように感じるかも…
しかし、オリゴ糖は多く取り過ぎると、副作用もあります。
大腸に届いたオリゴ糖が多すぎると、腸内細菌が食べきれずに、余ってしまいます。大腸の中でオリゴ糖が余ってしまうと、浸透圧の差によって、大腸が水分の吸収を上手にできなくなり、ウンチが緩くなってしまうのです。
また、既に説明した通り、最初のうちはオリゴ糖を食べて悪玉菌も一緒に増えていきます。そうなると、一時的に臭いおならが出るようになったり、ウンチが臭くなったりします。
※参考記事
⇒ 便秘にオリゴ糖は効果があるの?カイテキオリゴを試してみた!
腸内環境が改善すると、それもだんだん改善していきますが、最初のうちはビックリすることもあるので、ご注意ください。
まとめ
糖類と言っても、カロリーや消化吸収できるかどうかなど、様々な違いがあるんですね~!
その違いを表にしてみました。
項目 | オリゴ糖 | 砂糖 | ブドウ糖 |
---|---|---|---|
分類 | 少糖類 | 二糖類 | 単糖類 |
100gあたりのカロリー | ブドウ糖の半分程度(腸内環境により差がある) | 271Kcal | 335Kcal |
砂糖を基準とした時の甘さ | 半分程度 | - | 6割~7割 |
消化吸収できるか? | × | ○ | ○ |
この中でも最も大きな違いは、オリゴ糖のみが消化吸収されずに、大腸まで届くという事です。そのおかげでオリゴ糖は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を改善してくれるのです。
一方で砂糖やブドウ糖は小腸でほとんどが吸収されて、人間のエネルギー源として消費されます。
このようにオリゴ糖は、腸内環境を改善する特殊な糖類なので、上手に利用して健康な食生活をしてくださいね!
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