乳酸と乳酸菌の違い!乳酸ができる仕組みとは?
私たちが乳酸と聞くと、筋肉の疲労物質というイメージですよね!?運動をすると筋肉の中にたくさんの乳酸が溜まるわけです。
一方で牛乳を発酵させてヨーグルトにする菌の事を乳酸菌と言います。こっちは乳酸菌です。
乳酸と乳酸菌は一体何が違うのでしょうか?筋肉に溜まるのが乳酸で、牛乳の中にいる菌は乳酸菌なんでしょうか?
今回は分かってるようで、分かってない、乳酸と乳酸菌の違いについてお伝えします。
目次
乳酸ができる仕組み
乳酸と乳酸菌の違いを見ていくために、まずは乳酸について理解していきましょう。
乳酸はブドウ糖(グルコース)を分解して、エネルギーを作り出す時に、副産物として生成される物質です。
通常時は筋肉では、血液から酸素を受け取って、ブドウ糖を燃やします。この場合、水と二酸化炭素しか生成されません。
しかし、短時間で激しい運動をすると、血液から酸素を受け取って燃やしているのでは追いつかなくなるため、酸素抜きでブドウ糖を燃やしてエネルギーにします。この時の副産物が乳酸なのです。
有酸素運動と無酸素運動という言葉を聞いたことがあると思いますが、主に酸素を使ってブドウ糖を燃やしている状態の運動が、有酸素運動、主に酸素無しでブドウ糖を燃やしている状態の運動が無酸素運動なのです。
典型的な無酸素運動は、全力疾走や重い物を持ち上げる時など、一気に力を出す運動です。このような運動をしている時は、筋肉の中にたくさんの乳酸ができているわけです。
乳酸菌とは?
一方の乳酸菌とは、生命活動の過程で、乳酸を作り出す細菌の総称です!
乳酸菌の場合もブドウ糖などの糖をエネルギー源としています。人間と違うのはブドウ糖を燃やす時には、必ず酸素無しで燃やすことです。
そのため、必ず乳酸を作り出すことになります。そして、乳酸菌が食べ物の糖分を分解して乳酸を作り出すことを乳酸発酵、または単に発酵と呼びます。
この乳酸発酵には次の2種類があります。
- ホモ乳酸発酵
- ヘテロ乳酸発酵
実は単に乳酸菌と言っても、このどちらの発酵をするかによって、全然違ってきます!
というわけで、それぞれについて簡単に説明しますね!
ホモ乳酸発酵
ホモ乳酸発酵は、ブドウ糖の分子、1個を燃やして、2個の乳酸分子を作り出す乳酸発酵です。
乳酸は酸性物質のため、ホモ乳酸発酵をする乳酸菌はすぐに食べ物を酸っぱくしてくれます。実は食品を発酵させる際は、急速に酸性になる方が、発酵が促進され、腐敗しにくくなるため、好都合なのです。
そのため、ヨーグルトを始めとした、多くの乳酸菌発酵食品にはホモ乳酸発酵をする乳酸菌が使われていることが多いです。
ヘテロ乳酸発酵
ヘテロ乳酸発酵はブドウ糖の分子、1個を燃やして、1個の乳酸分子とそれ以外の物質を作り出す乳酸発酵です。
乳酸以外に作られる物質には次のようなものがあります。
- ビタミンC
- アルコール
- 酢酸
- ビタミンB群
- プロピオン酸
- 酪酸
ヘテロ乳酸発酵をする代表的な乳酸菌は、ビフィズス菌です。ビフィズス菌は動物の腸の中に生息していて、人間の大腸にもたくさんいます。
そして、ビフィズス菌が作る物質は体に有益なものばかりです。実は人間の体では作ることのできない栄養素をビフィズス菌は作ってくれているため、ビフィズス菌無しでは人間は生きることができないのです!
また、ヘテロ乳酸発酵で作り出される物質は乳酸菌によって様々なため、実はこれだけではありません。そのため、有益な物質を作り出す乳酸菌を探し出そうと、盛んに研究されているのです。
乳酸菌が作り出してくれる栄養素については、こちらの記事に詳しく書いているので、よければご覧ください。
⇒ ヨーグルトの栄養の効果!乳酸菌が作り出す物質は超凄い!
というわけで、ここまでは乳酸と乳酸菌について見てきましたが、私たちが乳酸と聞いた時にイメージするのは、筋肉の疲労物質というものです。
しかし、最近の研究では乳酸は筋肉疲労物質ではない事が分かってきました。
今度は本当の乳酸の働きを解説します!
乳酸は疲労物質なんかじゃない!
乳酸が筋肉に溜まることで、筋肉の働きが悪くなるため、乳酸は筋肉の疲労物質と考えられてきましたが、最近の研究では、乳酸は関係ないことが分かっています。
それどころか、乳酸は肝臓に運ばれ、そこで再びブドウ糖に変えてエネルギー源になるのです。これは糖新生と呼ばれ、体内に糖分が不足してきた時に、エネルギー源を作り出す重要な体の機能です。
乳酸はこの糖新生に使われる重要な物質なのです。
では、本当の疲労物質はなんなのでしょうか?
無酸素運動をすると乳酸と同時に、リン酸も大量に生成されます。このリン酸はカルシウムと結びついて、リン酸カルシウムになりやすいのです。
筋肉の収縮にはカルシウムが重要な働きをするため、リン酸カルシウムができてしまうと、カルシウムが不足して筋肉の働きが悪くなると言われています。
乳酸はむしろ次のエネルギー源になる良い物質なのです!
まとめ
乳酸はブドウ糖がエネルギーとして燃やされる時に作り出される物質です。
人間の筋肉の中で作り出される場合は、再利用されて再びブドウ糖に変えられます。乳酸菌によって作られた乳酸は、食べ物に酸味を与え、雑菌の繁殖を抑えて腐敗を防ぎます。
乳酸は筋肉の疲労物質というイメージが強いので、良いイメージではありませんが、実は人間にとってとても役に立つ物質なのです!
そして、乳酸菌は乳酸を作り出す、人間にとても有益な菌です。
私も乳酸なんて、老廃物のような物だろうと思っていましたが、有益な物質と知ってちょっと驚きです。
皆さんも乳酸を疲労物質扱いする人を見つけたら、是非、乳酸の凄さを教えてあげてくださいね!
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